上段ロケットのデブリ化防止のためにH3では太陽同期軌道でも制御再突入ができるようになりました。

上段ロケットのデブリ化防止は世界共通の課題

軌道投入後の上段ロケットのデブリ化を防ぐため、これを大気圏に制御再突入させることは、人類の共有資源である宇宙空間の利用の持続可能性をもたらす点で、SDGsの目標とも強く関連するもので、国際的にも強く推奨されています。宇宙輸送技術部門では、H-IIBロケット2号機による国際宇宙ステーション補給ミッションにおいて上段ロケットの制御再突入に成功して以来、8機連続で精度良く制御再突入に成功し、世界と肩を並べる形でデブリ化防止の取組みを進めてきました。

軌道離脱燃焼中のH3ロケット2段機体

H3ロケットでは日本で初めて太陽同期軌道でも制御再突入ができるように!

・日本の新たな基幹ロケットであるH3ロケットの開発に際しても上記の背景を踏まえ、運用終了後の第2段機体について、デブリ低減対策として軌道上での破砕防止のため、大気圏への制御再突入を実施可能とするシステム(ロケット/射場系・飛行安全系設備)を開発し、国際宇宙ステーション補給ミッションのみならず、太陽同期軌道(SSO)からの制御再突入も可能となりました。
・H3ロケット試験機2号機および3号機の打上げにおいて、日本では初めて太陽同期軌道(SSO)から第2段機体を大気圏に制御再突入することに成功し、宇宙環境の持続可能性に貢献しました。(※)試験機2号機はFY2023、3号機はFY2024の成果

写再突入するH3ロケット2段機体

この取り組みを通じて貢献可能なSDGsの目標

  • デブリ化防止に貢献する開発で、環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大により持続可能性を向上させることに貢献しました。
  • デブリ化防止を行うことで、打上実施者として打上げ後の廃棄物の管理責任を果たすことに貢献しました。
  • 軌道上で上段ロケットが破砕した場合に発生する破片により、地球温暖化防止のために観測データを取得している人工衛星の障害になることを防ぐことに貢献しました。
  • 宇宙デブリ対策は国際的な課題であり、これを抑止する能力を日本の基幹ロケットであるH3が持つことで、日本が国際的なルール作りに対する影響力を持つことに貢献できます。
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