地球観測衛星からの超大容量の観測データを即時に地上へ伝送し、災害時の迅速な広域状況把握に寄与

地球観測衛星における観測データ量の増加と、データ提供即時性への対応

地球観測衛星に搭載されるセンサの高性能化及び観測頻度増加により、地上へ伝送される観測データ量は増大しています。また、災害対応等では、広域な情報のデータ伝送に対し即時性が必要となります。

光データ中継衛星により、大容量の観測データの即時伝送に寄与

光データ中継衛星は、レーザ技術を用いた光通信により、大容量のデータ伝送能力を有しています(通信光波長1.5μm帯、通信速度1.8Gbps)。また、地上から36,000㎞という高い軌道から中継する仕組みにより、通信視野範囲が地上局の約4倍に拡大するため、データ伝送の即時性が向上します。
なお、2025年1月10日、先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)により観測された画像(高分解能モード:10m分解能/200㎞幅)で、ほぼ地球全周の約1/3の1万3000kmにも及ぶ超大容量データの即時伝送の実証に成功しました。これは、災害時には広域・迅速な状況把握に光データ中継衛星が寄与できることを示すものです。(【ターゲット13.1】(自然災害に対する強靭性及び適応能力の強化への貢献))

図1:「LUCAS」によってデータ伝送した「だいち4号」の観測画像。
初期校正検証運用において取得。帯状の範囲の観測データを一度にダウンリンクし、地上局直接伝送では複数のパスに分割する必要があるような大量のデータを、即時的に取得することに成功した(北極海の海氷等、観測範囲の1部を拡大して表示。疑似カラー画像処理)。

この取り組みを通じて貢献可能なSDGsの目標

  • 光データ中継衛星は、低軌道を周回する地球観測衛星に対し即時性の高い通信回線を提供します。これにより、地球観測衛星による自然災害や気候変動に関する迅速な情報取得・伝送を可能とし、自然災害に対する強靭性及び適応能力の強化、並びに気候変動対策の立案に貢献することを目指します。
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