人工衛星等を打ち上げる前に廃棄後のリスク(再突入した衛星の破片が地上に落下する可能性等)を評価して、安全な宇宙活動をサポート。

使い終わった人工衛星やロケットは、どうなるの?

地球周辺にある役目を終えた人工衛星やロケットは、いずれ大気圏に再突入して、その部品の大半は消滅します。しかし、エンジンの熱に耐えるように作られた部品等では、破片の一部が燃え残り地上に落下する可能性があります。
このため、国際機関や各国の宇宙機関等では、大気圏に再突入する人工衛星等から生じる落下物の危険性が十分小さくなるよう、人工衛星等の打上げ前に予めリスク評価を行い、危険性が高いと判断される部品に対しては対策を講じるよう求めています。
廃棄する人工衛星等が十分安全であることは、持続可能な宇宙活動の基本となる大変重要な課題です。

ORSAT-Jを使えば、大気圏へ再突入する物体のリスクを国際水準で評価できます!

JAXAは、人工衛星やロケットなどの再突入物体による地上への影響を事前評価するためのツール「ORSAT-J」を維持・管理しています。ORSAT-Jは、NASAのツールをもとにJAXAが整備したツールであり、再突入物体の落下経路解析、溶融解析、傷害予測数計算を行うことができます。また、ORSAT-Jの解析結果は、他の宇宙機関(NASA、CNES他)が保有する解析ツールと同水準であることも評価済みです。
ORSAT-Jは、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律(宇宙活動法)の申請が必要な、日本国内の事業者等(大学・企業・国の機関等)のうち、宇宙機を開発する方及び、軌道上に機体が残るロケットを開発する方に無償で貸与しています。(なお、ORSAT-Jの利用には研修参加等による習熟が必要なため、目安として100kg以上の宇宙機を評価する必要がある方のご利用をお願いしています。)

この取り組みを通じて貢献可能なSDGsの目標

  • ・標準的なPCのみで、宇宙活動法の申請に必要な再突入解析レポートが作成できるインフラ的ツールを開発しました。
  • ・人工衛星の設計に、大気圏再突入時の残存性評価を反映することで、安全な宇宙利用に取り組みます。
  • ・日本国内の、宇宙開発に参入したい事業者ならば誰でも、経験や知識の差に依らず、JAXAと同じ国際水準の再突入溶融解析を実現可能にします。
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