プラネタリーディフェンス(天体の地球衝突という究極の自然災害から人類を守る活動)への貢献

人類社会に甚大な災害をもたらす太陽系小天体の地球衝突を回避する技術実証と小天体の性質や起源をさぐる

小惑星や彗星などの太陽系小天体が地球に衝突すると、非常に大きな災害となります。大きさが数十メートルの天体でも、地球に衝突すれば地域的に大きな災害となります。そのような天体の衝突頻度は100年から200年に1回と言われています。

今後100年から200年で衝突する可能性のある天体は直径100m以下であり、それらの地球衝突回避のための手段は探査機を衝突させて軌道を変化させる方法が現実的です。米国のDARTが2022年9月に小惑星ディディモスの衛星ディモルフォスに衝突させ、軌道変化を確認しました。その衝突による効率を調べるには、両小惑星の大きさや密度、表層物性などの情報が必要です。Heraは2024年に打ち上げ、2027年にランデブーして詳細な観測を実施します。小惑星の地球衝突回避技術の実証と、小天体の性質や起源の究明の両面で貢献します。

Heraは熱赤外カメラTIRIを開発して搭載し、小惑星ディディモスと衛星ディモルフォスの観測を実施するほか、「はやぶさ」「はやぶさ2」で培った小惑星科学の知見で貢献します。

HeraはESAの小惑星探査計画で、NASAのDARTと連携する史上初の本格的なプラネタリーディフェンス計画ですが、JAXAも「はやぶさ2」で活躍したTIRを発展させた熱赤外カメラTIRIを開発して搭載し、小惑星ディディモスとその衛星ディモルフォスの観測や、DART衝突の影響についての調査で大きく貢献します。

「はやぶさ」「はやぶさ2」で培った日本が世界を先導する小天体地形学、衝突科学、小惑星ダイナミクス、熱物性などの小惑星科学の知見でHeraで得られる観測データの解析や解釈に強く貢献します

Heraによる小惑星ディモルフォスの探査の想像図
開発中の熱赤外カメラTIRI

この取り組みを通じて貢献可能なSDGsの目標

  • ・深宇宙探査機に関する技術を向上させることにより、宇宙開発の持続的な発展に貢献します。
  • ・天体の地球衝突という究極の自然災害に対して、衝突回避の技術開発や衝突してくる天体の物理的性質の解明を行うことで、災害回避に貢献します。
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